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「Googleに学んだシンプルなこと」、freee佐々木代表が語る



「Googleに学んだシンプルなこと」、freee佐々木代表が語る
freee 代表取締役 佐々木大輔氏
2015/05/11

ph02 インターネット環境があれば、会計の知識も不要ですぐに始められるクラウド型会計ソフトを提供するfreee。自営業者や中小企業の煩雑な会計業務の手間を省くため、金融機関とのデータ連携機能や入力補助機能など、日々、改善を続けている。中小企業のテクノロジー化の遅れを目の当たりにしてfreeeの起業に至った佐々木大輔代表取締役が語った。

 インターネットから利用できる新しいクラウド型会計ソフトを提供しています。freeeには大きく三つの特徴があります。従来の会計ソフトはパソコンにインストールして使うものがほとんどでしたが、インターネット環境があればいつでもどこでも使えるのが一つ目の特徴です。二つ目の特徴は、簿記や経理の知識がなくても使える点。三つ目は、銀行やクレジットカードの明細を自動的に取り込み、手間を省ける点です。

 無料でまず利用してもらい、気に入ったら有料会員登録していただくモデルです。有料版の月額料金は個人事業主の場合は980円、法人の場合は1980円です。現在、無料、有料合わせて30万の事業所が利用しています。

 全国の税理士や会計士、中小企業診断士などを対象に認定アドバイザープログラムも用意しています。これはfreeeのユーザーを対象に記帳指導や月次チェック、申告代行などのサポートをしていただける方々を対象にしています。

中小企業を舞台にイノベーションを起こす

 もともと新卒で入社したのは広告代理店の博報堂でした。その後、投資ファンドに移り、2007年にはリコメンドエンジンを手がけるアルベルトのCFO(最高財務責任者)をしていました。実際に経理処理で手を動かすわけではないのですが、このとき、経理業務の煩雑さを目の当たりにしました。請求書を受け取り、Excelに入力する。当時の会計ソフトは帳簿を作成できるものの、業務全体の流れに乗っていないということが問題点でした。

 色々と探してはみたのですが、小さい企業で利用できるソフトウエアはほぼ皆無でした。その後、米グーグルの日本法人に転職し、中小企業向けのマーケティングを担当しました。ここで気づいたのは、いかに中小企業にテクノロジーが浸透していないかということです。

ph01 中小企業を舞台としたイノベーションが起きていないのであれば、自分で起こすしかないと思い、freeeを始めました。

 アイデアを周囲に話すと、多くの人から反対されました。会計事務所に完全に支配されている業界で、新しいツールの導入は進まないという指摘もあれば、何十年も同じやり方が踏襲されてきているので誰も困っていないという指摘もありました。

 つまり、会計業務は誰も不便であることに気づいていない業界だったわけです。なぜ開始から順調にfreeeがユーザーを伸ばしてきているかというと、我々が中途半端に門外漢だったからでしょう。異なる欄に同じことを何度も入力するのは手間を省けるはず、銀行の通帳を片手に逐一入力するのであれば、CSV形式で流し込めるはず。自分自身で手を動かしていたら、不便さに気づかなかったかもしれません。こうした問題は遠すぎると気づかず、近すぎると見えません。

 サービス開始から機能拡充を重ね、2年がたち、今では普通の会計ソフトでできることはfreeeでもできるようになっています。これからは会計ソフトという枠を超えて、業務全体をいかに簡単にできるかに注力していこうと考えています。例えば、freeeから請求書を発行し、その請求書を受け取った相手が振り込みをしたらその通知が来るようにしたり、モバイル端末から経費精算すると承認が落ちるようにしたり、業務全体の流れの中で、使い勝手を向上させていくつもりでまずはアーリーアダプターを徹底的に魅了する

 freeeには営業部隊がありません。企業向けのサービスを展開しているのであれば営業チームを編成するのが当たり前と思うかもしれませんが、もし営業部隊を持ってしまえば、私が実現したい中小企業のテクノロジー化の理想とは大きくかけ離れてしまいます。営業コストが料金に反映されてしまうのも避けたいのです。

 こうしたポリシーを持つようになったのはグーグル在籍中にシンプルなことを学んだからです。「インターネット企業だからこそオンラインで販売する」。世の中のほとんどの人はこのことを突き詰めて考えず、法人を対象としたビジネスには営業がいなければダメと判断してしまいます。

 そして同時に、物事には正しい順番があるとも思っています。例えば、グーグルではお正月とお盆という2回のタイミングで検索ボリュームが増えます。インターネットを使いこなしている若い世代の人たちが帰省し、親の世代に使い方を教えているのです。

 マーケティング用語でいう、最初に飛びつくアーリーアダプターにまず気に入られるものを作り、そして自然にレイトマジョリティへと広がっていくのが自然な流れです。最初からレイトマジョリティを対象にしたプロダクトを作ると失敗してしまいます。

 だからこそ最初にfreeeを支持してくれたユーザーに対して改善を続けています。今後は、対象は少しずつ個人事業主から規模の大きい企業の課題解決へとシフトさせていこうと思っています。(談)(聞き手は原 隆=日経コンピュータ)

こんな会社
freee
http://www.freee.co.jp/
創業:2012年
従業員:100人
 アルベルトで会計業務の煩雑さを知り、米グーグルでは中小企業のテクノロジー化の遅れを実感した佐々木氏。大幅な進化が止まっていた会計ソフト業界にクラウド特化型の会計ツールを提供し始めた。ゆくゆくは法人のバックオフィス業務全般まで改善していきたいという。





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