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ダーツで席決め 好業績のカルビー、成長の源はオフィスにあった!



ダーツで席決め 好業績のカルビー、成長の源はオフィスにあった! 

2009年に経営体制を大きく刷新したカルビー。それが功を奏し業績を伸ばし続けている。松本会長の号令の下、さまざまな経営改革に取り組んできた。その1つが本社移転をきっかけに推進したオフィス戦略だ。

“やめられない、とまらない”は、スナック菓子「かっぱえびせん」の有名なキャッチコピーだが、その販売元である菓子メーカー大手・カルビーの好調ぶりが止まらない。

過去5年間の業績は見事な右肩上がり。2014年3月期の連結売上高は1999億4100万円、営業利益は197億1700万円、純利益は120億8600万円だった。来月5月に決算発表を控えるが、2015年3月期通期の業績予想については、売上高は2130億円、営業利益は225億円を見込む。

カルビーの業績推移(出典:カルビー)
カルビーの業績推移(出典:カルビー)

好調の大きな要因が経営体制の刷新である。2000年ごろから国内市場の消費低迷などによって業績が伸び悩む中、“第2の創業”としてこれまでのオーナー経営から脱却。2009年6月、米Johnson & Johnsonの日本法人社長を務めていた松本晃氏が代表取締役会長兼CEOに就任。時を同じく社長に就任したカルビー生え抜きの伊藤秀二氏とともに、「継続的成長」と「高収益体質の実現」を目指した変革を進めていった。

トップダウンで改革

その1つが本社移転に伴うオフィス改革プロジェクトだ。カルビーは2010年1月に本社を東京・赤羽から丸の内に移転。併せて八重洲にあった一部の本社機能もすべて新オフィスに統合した。

丸の内トラストタワーにあるカルビー本社
丸の内トラストタワーにあるカルビー本社

移転の狙いとしては、本社機能を1つにすることで物理的な効率化を図るとともに、東京駅隣接という好立地により営業活動をしやすくしたという点がある。しかし、最大の目的は社員の働き方そのものの改革だった。

「会社が成長するには社員個人の成長が大前提。そのためにはオフィス環境を変える必要があるという経営トップの判断があった」と、カルビー コーポレートコミュニケーション本部 広報部の田中宏和部長は振り返る。

これまで赤羽のオフィスでは、組織ごとにフロアが分かれていて、社員はすべて固定席だった。八重洲のオフィスでは固定席を持たないフリーアドレス制を採用していたものの、社員は朝出社した順に好きな場所に座るため、しばらくすると固定席とあまり変わらない状況になっていたという。

「こんな働き方では急激なビジネス環境の変化に対応できない」――。経営層の強い意思の下、トップダウンでオフィス改革が進められたのである。現在のカルビー本社の様子。ここで働く社員約230人のほぼすべてが固定席を持たない

現在のカルビー本社の様子。ここで働く社員約230人のほぼすべてが固定席を持たない
集中して作業したいときなどに使う座席
集中して作業したいときなどに使う座席

会議を減らす、マネジメントも変える

オフィス改革による成果はどうか。まず、フリーアドレス制を広く敷いたことで、社員個々人の持ち物や会社備品が大幅に減った。書類などのペーパーは移転前と比べて7割も削減した。

フリーアドレスによって社員同士の横連携が強くなり、自由闊達な議論が生まれている
フリーアドレスによって社員同士の横連携が強くなり、自由闊達な議論が生まれている

会議の数も圧倒的に少なくなった。松本会長の「ノーミーティング、ノーメモ」という号令により、会議そのものを減らし、会議などのための資料作りも省力化した。

赤羽に本社があったときは、全国から社員を集めて工場長会議や支店長会議を毎月開いていた。そのほかにも執行役員会議や業績を確認するための事業部長会議などが多数あったが、それらを一切なくした。全体で会議数は従来の3割程度になった。

単に会議数を減らしたわけではない。マネジメントのやり方を変えて、社員は年に1度、上席者と目標設定ミーティングを行い、コミットメントを決めるようにした。その成果を確認するのは1年後なので、あとはすべて社員一人一人に任せるというスタイルにしたのだ。役員クラスについても、四半期や半期ごとの数字は確認するものの、今までのように毎月業績確認のためだけに会議を開くことはなくなった。

ただし、オフィス改革による効果としてより強く表れているのは定性的な部分だ。社員同士のコミュニケーションが深まり、部門や役職の垣根を越えた左右、上下のコラボレーションが生まれているという。「同じテーブルでさまざまな部署の社員が仕事をしているため、何かあればすぐにディスカッションできる。情報のインプットやアウトプットの量が目に見える形で増えているし、ビジネス上の成果にもつながりつつある」と田中氏は強調する。

ダイバーシティを推進

オフィス環境面だけでなく、社内制度の変革にも精力的に取り組んだ。営業職の直行直帰を推進し移動時間のロスを防いだり、全社員にノートPCとモバイル端末(一部はスマートフォンに移行中)を配布して効率的な働き方を支援したりしている。

2013年にはサマータイム制度を導入。6月1日~9月30日の期間は午前8時から午後4時30分を勤務時間とし、17時を消灯時間と定めた。朝早く出社して仕事の効率化を図るとともに残業を減らすのが狙いで、実際に初年度は前年比で92%も残業を削減した。さらに2014年からは在宅勤務制度もスタートした。

こうした取り組みによってカルビーが目指すゴールの1つは、ダイバーシティの推進である。“女性の活躍なしにカルビーの将来はない”という合言葉とともに、同社は2020年に管理職の女性比率30%を経営目標に掲げている。2014年4月1日時点で14.3%、2015年4月には約20%になる見込みだ。

すべての社員がいきいきと働ける環境を提供することで、企業は継続的に成長できる。この理念を体現するカルビーの快進撃は、まだまだ止まりそうにない。





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