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ヒットを生む「潜在ニーズ」発掘法 商品開発を科学する



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企業は、消費者の潜在ニーズを見ることはできない。しかし、消費者ニーズについての理解を深め、正しいプロセスで応えることで、商品開発の成功確率を高めることができる。

出典:梅澤伸嘉著『消費者心理のしくみ』

消費者ニーズを読むと、ロングセラー商品のアイデアが生まれます。

私は長期間にわたって、数多くのロングセラー商品を開発してきました。私が開発に携わった商品として、「サンスタートニックシャンプー」、「カビキラー」、「固めるテンプル」、「禁煙パイポ」などがあります。それらは偶然、ロングセラーになったわけではありません。きちんとしたプロセスを踏み、正しい努力をすれば、商品開発の成功率を高めることは可能なのです。

「未充足のニーズ」が重要

商品開発は、「洞察力」と「独創力」の融合です。

洞察力とは、行動分析やグループインタビュー、CAS分析(後述)を通して消費者ニーズを的確につかみ、読み解く力です。まずは消費者の発言や行動から、消費者の心に潜在するニーズ、それも「未充足の強いニーズ」を推測することが必要です。

独創力とは、消費者ニーズに的確に応える力です。声なき声(潜在ニーズ)を洞察すると、「未充足の強いニーズ」があぶり出され、そのニーズに応えることで、新たな市場を創造する商品開発に結び付くのです。

商品開発者に理解されていない概念で、最も重要なのが「ニーズの未充足度」です。たとえ発売前の消費者テストで良い評価が得られても、「今は○○があるから、別にこの商品でなくても構わない」というように、他で間に合っている状態、すなわち「充足されている状態」ならば、消費者は、わざわざその商品を選ぶ理由がありません。

新商品は、「したい、やりたい、でもできない」という未充足の状態に応えないと、消費者から選ばれることはないのです。

ニーズの深層構造は万人共通

しかし、未充足の強いニーズの多くは潜在していて、企業からは見えません。また、消費者自身も自分の心理を知りません。たとえば、「コーヒーを飲みたい」と思っても、今なぜコーヒーを飲みたいのか、本当のところはわかっていません。だから、消費者に行動の「なぜ」を聞いても、行動の真の意味や理由を知ることはできないのです。

さらに、消費者心理はコロコロと移り変わり、各人の経験によって、記憶や思考、好みの内容も異なります。しかしここで重要なのは、消費者心理の表層は異なっても、「深層」はしっかりとした構造があり、万人共通であることです。本能的に心の中で起こるプロセスは、誰もが同じように働くニーズ充足の自動装置なのです。

消費者ニーズは、Be(状態・存在)、Do(行為)、Have(対象・所有)の3層構造を成しており、上位ニーズと下位ニーズは「目的と手段」の関係でつながっています。そして、ニーズの層構造が下位になるほど移ろいやすく、その種類は多くなり、具体的になっています(図1)。

出典:梅澤伸嘉著『消費者心理のしくみ』

深層構造は共通なので、自分の胸に手を当てて考え、図2のことを自分に問いかけ、自分の潜在意識をのぞくことで、消費者の潜在意識が見えてきます。じっくりと自分の心の中を洞察して生まれたアイデアは、多くの消費者に受け入れられる可能性が高いのです。

また、グループインタビューによって、「本当はやりたくないが、しぶしぶやっていること」をみんなで話し合ってもらうのも有効です。質問ではなく、話し合うという手法そのものも出席者の潜在ニーズが顕在化することに役立ちます。

消費者調査で典型的な誤りの一つは、消費者に「何が欲しいのか」を質問してしまうことです。「何が欲しいのか」を質問すると、今ある商品が回答されてしまうため、新しい商品を考えるヒントになりません。

必要なのは、「どう生活したいか」、「その手段は何か」、「その問題は何か」を聞くことです。そうすることで、「未充足の強いDoニーズ」(したい、やりたい、でもできない)を発掘することができます。

行動の正しい読み解き方

人は、満足を得るために行動します。その行動はニーズによって引き起こされます。そのため、消費者の行動を手掛かりにして潜在ニーズを発掘することができます。

私は、潜在ニーズを正しく発掘する手法として、「CAS分析」という方法をつくりました。

出典:梅澤伸嘉著『消費者心理のしくみ』

CAS分析は、次のようなプロセスで行います(図3)。(1) 大きな問題(解決されたらうれしい問題)を伴う行動を探す。グループインタビューや個別面接調査によって、「本当はやりたくないがやっていること」と「その行動に伴う問題」を聞く。(図3-1、3-2)(2) 上記よりその行動の問題を推論し、Doニーズを同定する。(図3-3)(3) 上記より問題を反転し、Doニーズに条件として付加すると「未充足の強いニーズ」が創造される。(図3-4、3-5)

上記を早く安く明らかにする調査手法が「システマティックGDI」です。

「消費者ニーズの調査は無意味」などと語る人もいますが、それはニーズの理解不足によるものです。消費者ニーズを読み誤れば、商品開発は必ず失敗します。消費者ニーズの深い理解こそが、商品開発を成功に導くのです。





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