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ベンチャー企業は人を育てることができるのか



新卒でベンチャー企業には絶対に行くな!
2015.04.30

ベンチャー企業は人を育てることができるのか

20140205column 前回、前々回と20代の会社員について、私の考えを書いてきました。今回は、30代の社員で、特に管理職やリーダーなどの「救いようのない勘違い」について触れたいと思います。

 私が人事労務の雑誌などで、中小企業やベンチャー企業(一部の大企業の関連会社を含む)の30代の管理職を取材すると、その6~8割は自信満々で「部下への育成は十分にできている」といった意味合いのことを話します。ためらいも恥じらいもなく、「部下を育てている」と答えることに、私は強い違和感を覚えます。

 経験が浅く、立場の弱い20代から相談を受けたら、私はこう答えます。「ごく一部を除き、中小企業やベンチャー企業には、新卒では入社しないほうがいい。30代後半以降に、行き詰まったときに、中途採用試験を受けて入ればいい」と。

 なぜ、彼らは「部下への育成は十分にできている」と浅はかにもいえるのか、私には理解できないのです。その会社の企業内労組の役員だった社員や退職者たちに聞いても、30代の管理職の部下育成には疑問の声が出ます。

 例えば、「作業の流れを20代に教えることしかできない」「上司のように振る舞うけど、20代を抑えつけているだけ」などと聞きます。実に、30代の管理職の評判は悪いのです。私は、心の中で「そんなデカイことを言える身か?」「あんたも素人だよ」と突っ込みたくなります。

30代の人が20代を部下に持つことに無理がある

 結論からいえば、30代の人が、20代を部下に持つこと自体に、そもそもの無理があるのです。しかも、中小企業やベンチャー企業という、人材育成などが未熟な組織ならば、なおさらのことでしょう。

 前提として、心得るべきは教育の難しさです。特にまったくの未経験者(この場合は、20代前半から後半にかけての社員)を一定の時間内で教え込み、ある程度の仕事ができるレベルに育てあげるのは、めちゃくちゃに難しいことなのです。30代のリーダーたちは、この自覚に乏しいのではないか、と思えるのです。言い換えると、自分の力を過信しています。

 たとえば、都内にIT系の会社(正社員数300人)があります。私は、2009年からこの会社と仕事上の取引があるのですが、30代前半~半ばにかけての管理職数人には不愉快になるほどです。20代の部下たちを、まるで中小企業のワンマン社長気取りで偉そうにこき使います。指示は、朝令暮改を通り越し、1時間後にコロコロと変わっています。しかも、日本語として意味がわかりません。部下は、さぞかし大変でしょう。

 ところが、この素人に近い人たちが30代前半~30代半ばでありながら、驚くべくことに「部長」や「執行役員」をしています。いかに人材難であるかがわかります。印象に残っている言葉が、20代の部下たちを指して「甘えている。俺たちは闘ってきた」「仕事は、甘いもんじゃない!」などです。

 強烈に笑えるのは、これです。

「(20代のうちは経験が浅いから)持っているものが、小さいんだよね。だから、上の人(自分たちのこと)から何かを言われても、言いかえすことができない。議論できるレベルに達していない。俺もそうだった」

支離滅裂な指導をする30代リーダーが生まれる構図

 まるで、陳腐なドラマのワンシーンで、冴えない会社員を演じる俳優のセリフに聞こえます。ここには、部下を育成するという自覚や責任感がまるでないのです。たしかに言いたいことは、わからないでもありません。丁寧に教えても、いつまでも要領を得ない20代の社員はたくさんいます。仕事への適性がない人もいるでしょう。むしろ、企業社会全体では、そのほうが比率として高いと思います。

 しかし、曲がりなりにも、一応は「部長」や「執行役員」なのでしょう。ここ20数年、一部のメディアや有識者は、こういう30代の職場のリーダーたちを称えてきました。「年功序列で、ぬるま湯の大企業の40~50代の管理職」と対極に置いてきたのです。

 私にはその認識は、事実誤認にしか見えませんでした。ベンチャー企業や中小企業の実態を正確に押さえると、入社時で大企業に入れなかった人が圧倒的に多く、入社後の人材育成などがきわめて不十分であるということが多いのは間違いがないのです。

 しかも、20~30代前半までの定着率はすこぶる悪い。つまり、多くの人が、少なくとも大企業よりははるかに簡単に、30代で管理職になることができる構造があるのです。この事実がメディアでは、正確に伝えられていません。「実力主義」以前に、会社としての体をなしていないのです。

 このゆがんだ構造の中、経験の浅さや未熟さを棚上げし、20代を使い、支離滅裂な指導をしている30代のリーダーが生まれるのです。悲しいことに、このような会社は慢性的に人材難ですから、30代が退職したとしても、また、素人に近い30代が管理職になるのです。素人みたい人が、20代の素人に教えているのです。これでは「使えない管理職」のもと、「まったく使えない部下」になってしまうのは当たりまえでしょう。20代の「まったく使えない部下」は、会社が作りあげた人材といえるのです。

育成する仕掛けがないと人は絶対に育たない

 こんな会社に入社することの意味は何でしょうか? 私は30代前半の頃から考え抜いてきましたが、今もわからないことです。結局、人材育成の仕掛けやそれ以前の風土がないのです。これで、人を育成するなんてできないでしょう。仕掛けという点でいえば、1つの参考の事例があるのでそれを紹介しましょう。

 今年1月、関西の病院の看護部を取材しました。600人近い看護師がいる看護部のトップの看護部長、ナンバー2の副部長へのインタビューでした。テーマは、20代の看護師の育成です。2時間を超えるインタビューで私が強く感じたのは、「人は、育成する仕掛けがないと、絶対に育たない」ということです。

 仕掛けという点では、この病院では、入職し、3~5年目の看護師が入職1~2年目のビギナーに「1対1」で指導・育成をしていました。双方の年齢が近いこともあり、「教える」というよりも、「一緒に考える」といった雰囲気でした。看護部長らは、こんなことを話していました。

「入職して3~5年目の看護師は年齢でいえば、24~26歳が多い。この人たちが30代になる前に、人を育てるってこんなに時間がかかることか、これほどに真摯に向かい合わないと、後輩は聞く耳を持たないのか、などと体で感じ取らせることが狙いです。

 3~5年目の看護師も経験が浅いために、新人にきちんと教えることはできません。それでも、『教える』という役割を担わせると、自分自身の考えが変わります。特に大きいのが、感謝する心を持つこと。人を育成することがいかに難しいか、先輩や上司(師長など)がいかに大変であったか、いかに苦労をかけさせたかなどと振り返るのです。

 感謝をする心は、人を育成するうえで不可欠。この心を持つことができるのは、30歳まで。30代になってからは、20代を育成しつつ、現場の中核を担う看護師になるから、遅いのです。感謝する心をみんなが持たないと、人材育成をする風土はつくれません。効果的な仕掛けは永遠にできません」

 一定の権限を持ち、責任ある立場にある人が真剣に取り組まないと、時間内に仕掛けをつくり、効果を発揮することはできないのです。あらためて、人を育成することは奥が深く、難しいと実感しました。

「実力主義」どころか「人事破綻」

 人材育成の仕掛けは、本来は会社にもあるべきなのです。私がここ10数年、大企業を取材すると、5社に1社ほどの割合で、これに近い仕掛けを見つけることができます。

 しかし、中小企業やベンチャー企業では、20~30社に1つの会社があるか否か、というレベルです。これでは「実力主義」どころか、「人事破綻」でしかありません。そもそも、総務部があったとしても、人事部がないのです。こんなところに、20代の未経験者が飛び込んだところで、上手くいくわけがないのです。

 人事の仕掛けという点では、副看護部長はこんなことも話していました。

「人が育つためには、ロールモデルがどうしても必要。年齢が近く、この人みたいになりたい、と思えるような人材です。そんな先輩がたくさんいると、20代の看護師の意識は高くなり、仕事への姿勢はよくなります。人の育成を推し進める力は、ロールモデルがいかに多いか、いかに質が高いかに尽きます。

 小さなクリニックや病院では、そのモデルが少ないのです。看護学校から卒業した直後から、そのようなところで働いても、一人前の看護師にはなかなかならないでしょう。せめて、地域の中核病院や大学病院に行かないと、体制が整っていないのです」

 私は、この看護部長や副看護部長には激しく同感するものがありました。まさに言い得て妙なのです。一部を除き、多くの中小企業やベンチャー企業に、素人でしかない20代が入ったところで、悲惨な末路になるしかないのです。メディアや有識者は、その事実を隠しているのか、あるいは、不勉強であるのかもしれません。

30代の素人に近い上司の発言は受け流せ

 20代で今後、就職をしようとする人には、「一部を除き、多くの中小企業やベンチャー企業には行くな」と私は声を大にして言いたいです。不幸にも、現時点でそのような職場にいるならば、なぜ、そのようなところでしか働けないのか、と自問自答をしてみる必要があります。例えば、学生時代に恐ろしいほどに怠慢であったり、遊びほうけたりしたのではないか、と振り返ってみるべきでしょう。

 そのうえで、冴えない30代の上司を見据えるときに、心に秘めておくことを紹介します。まず、今の上司は、あなたを育成する力がないこと。上の役員や社長もその力がないこと。多くの中小企業やベンチャー企業では、人を育成したから、経営者になったのではないのです。稼ぐ力があるから、その地位にいるのです。これは、多くの大企業にも該当することです。

 この事実を踏まえているならば、30代の素人に近い上司が何を言ったところで、受け流すべきです。議論をする必要など、ありません。しょせん、あなたも上司も未熟な会社員ではないですか。なにゆえに真剣に考え、悩み、苦しまなければいけないのでしょうか。めちゃくちゃな指示を受けたら、「やはり、素人だな」と密かに思い、「はい、はい」と答えておけば、このレベルの管理職は満足なのです。しょせん、素人なのですから。

 ただし、この類のリーダーたちも支配欲を持っています。部下の上に立ち、思うままに動かしていたいのです。前途多難な中小企業やベンチャー企業にいるならば、雇用が不安定であるがゆえに、一段と支配欲を持ち、部下たちを掌握したいと思い込むことでしょう。

勘違い会社なら即刻辞めるべき

 20代の部下としては、常に疑うべきです。例えば、このような上司は口癖のように「お前のことを思い、指示をしている」「俺に逆らうと、君の将来は危ういよ」とあなたを脅したり、“常識”を持ち出してきたりします。会社員でありながら、こんな脅しを部下にすること自体、救いのようない勘違いではないでしょうか。

 なぜ、部下を脅迫するのでしょうか。端的にいえば、自信がないからです。さしたる実績がなく、しょせん、権限もあまりない「使えない管理職」でしかありません。40~50代になろうとも、大きくは変わらないことを心得ているからこそ、20代を必死に、哀れなほどに押さえつけるのです。そして、ささやかな威厳を保とうとするのでしょう。

 虚勢を張ったところで、社長のような存在にはなりえないのです。社長が、20代に「お前のことを思い、指示をしている」と口にするでしょうか。20代の人は機会を見つけ、もっときちんとした会社に移るべきではないでしょうか。そこもまた、人材育成の仕掛けがない中小企業やベンチャー企業ならば、もはや、救いようのない人生になっていくように思います。

 それでもあきらめることなく、新天地を探してみることでしょう。私は、安易な転職を否定しますが、絶望的と思えるほどの会社が、中小企業やベンチャー企業に目立つことは事実なのです。

 メディアや有識者はそれを覆い隠すのでしょうが、私は文章を書く者の責任として、20代の人がそのような会社で長く働くことは到底、勧めることができないと考えています。あえて言います。20代の人は、中小企業やベンチャー企業に行くべきでないし、30歳までも残るべきではないのです。あなたのかけがえのない人生が破綻します。そんなことを心から憂いています。

 あなたが自分の会社に残るべきか迷ったなら、その1つのバロメーターが、30代の上司の部下育成力です。救いようのない勘違いをしている会社なら、即刻辞めるべきです。





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