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個人・中小企業がECで勝つ方法 求められる「唯一化」の戦略



個人・中小企業がECで勝つ方法 求められる「唯一化」の戦略

尼口 友厚(ネットコンシェルジェ 代表取締役)

無料でネットショップを開設できるなど、今、ECに参入するハードルは低くなっている。しかし、そこで収益をあげるのは簡単ではない。小規模事業者が成功するためのポイントを、数多くのECサイトのプロデュースを手掛けてきた、ネットコンシェルジェ・尼口代表が語る。

EC(電子商取引)サイトの立ち上げは、低コストで簡単にできるようになり、ECへの参入障壁は低くなりました。無料で使えるツールもたくさんあります。しかし、ECサイトをつくることは簡単でも、難しいのは、そこでどう売るかです。EC成功のポイントはマーケティングであり、「顧客の獲得と育成」にあります。

尼口 友厚(ネットコンシェルジェ 代表取締役)

「自社の原点」がヒントに

ECのストア数は急激に増加しており、自社のサイトを認知してもらうのは簡単ではありません。また、顧客が買い物をしたとしても、二度と来店しない、サイトの名前すら覚えてもらえないのでは意味がありません。このサイトでまた買いたいと思わせる、ファンをつくる仕掛けが必要になります。そのために必要なのが、ECサイトのブランディングであり、唯一化です。

昨年から私は、中小企業やベンチャーの経営支援を行う中小企業基盤整備機構のECセミナー講師として、地方をまわることが増えました。しかし、個人事業者や中小企業の方から、よく「ブランディングと言っても、何を売りにすればいいのかわからない」と聞かれます。そうしたときに、私は「なぜ、あなたはそれを売っているのですか」と尋ねます。重要なのは、自社の原点を掘り下げることです。

例えば、何代も続くさくらんぼ農家であれば、それを掘り下げていくと、家業の歴史や地域の伝統、そこでどう真剣にさくらんぼづくりに取り組んできたのか、こだわりや苦難を乗り越えてきたストーリーが見えてきます。

自分だけでは、そうしたストーリーが見えづらいかもしれません。ECサイトをブランディングするうえでは、他人の目から自社がどう見えるかを確認する作業が大切です。リアルな店舗を持っている企業がECにも進出する場合、すでに顧客との接点があるのでコミュニケーションをとりやすいというメリットがあります。

一方で、ものづくり企業には、「そこでしか買えない商品」をつくりやすいという強みがあります。商品開発に込めた思いなどのストーリーを乗せ、商品自体で唯一化を実現することができます。

唯一の商品がない場合でも、顧客とのコミュニケーションでECサイトの強みをつくることができます。他社は、表面的なサービス設計は真似できても、ファンの存在は真似できません。自社サイトによく来る顧客がいれば、「なぜ、ここに来るのか」を聞いてみることです。そこから、自社のECサイトを唯一化するために必要なコンセプトが見えてきます。(「唯一化」についての詳細は、拙著『なぜあなたのECサイトは価格で勝負するのか?』を参照)

出典:尼口友厚氏・資料

まずは集客に全力を注ぐべき

ECで成功することが難しいのは確かですが、新たにECを始めるリスク、コストはものすごく下がっています。

今はECを開設・運営するためのさまざまなツールが充実しており、選択肢は無数にあります。ウェブの知識がなくても、簡単に自社サイトを無料で立ち上げられますし、モールに出店するのも有効です。どの手段が良いかというよりは、まずは認知度を高めて集客することが重要なので、露出を増やし、さまざまなチャネルを試してみることです。

まったくのゼロから立ち上げる場合は、本店となるECサイトを立ち上げた後、たくさんのユーザーが集まっているマーケットプレイスに商品を出してみるのも一つの手です。そこで関心を持った顧客を、本店に誘導できれば可能性が広がります。実際にどこがメインの入り口、流入ルートになるかはやってみないとわからず、選ぶ基準としては、そこに狙うべきターゲット層がいるかどうかが基本になります。

今まで消費者に販売したことがない事業者がECを始める場合、ターゲットの設定はシンプルに考えるべきです。例えば、自社の商品が取り上げられる場合に、どんな有名人、どんな雑誌、どんなブロガーに取り上げられたら効果的かを考えてみるとわかりやすいと思います。

そもそも、ブログや口コミに乗りやすい商品でなければ、巨額の広告費を持つ大手企業に勝つことはできません。海外の成功事例を見ると、「エコ」、「ハンドメイド」、「ローカル」といったキーワードが差別化のポイントになっています。「地球に優しい」、「人の温かみが感じられる」、「地域のために」といったコンセプトがあると、多くの人が話題にしやすくなります。

意識改革が一番の課題

物流や決済の最適化に力を注ぐのは、商品が売れるようになった後で十分です。それらは、運用のコストを下げて利益率を高めるための手段で、まずは売上げの向上、つまり集客とリピーターの育成が重要です。注文処理や配送などのバックヤードの部分は、モールが用意する機能を使ったり、アウトソースすることもできるので、最初からそこに労力を割く必要はありません。

また、サイトのデザインも、標準のテンプレートを利用したりインターネット上にある無料素材で十分です。インターフェースの改善やデザインに凝ることに力を注ぐのは、顧客を増やした後の段階です。その優先順位を間違えてはいけません。

地方の事業者の方々とお話していると、調べればすぐわかることも意外と知らなかったり、情報収集力の弱さを感じることがあります。そもそも、自ら情報を探しに行こうというメンタリティが不足していることが少なくありません。そうした意味では、意識改革が一番の課題です。

技術やコストの面では、ECのハードルはどんどん下がっています。誰もが参入できる市場になっており、できることはたくさんあります。まずは積極的に情報を調べて第一歩を踏み出し、行動することです。挑戦することで新たな展開を生み出せる可能性があります。





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