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DeNAサイトが大量閉鎖 「法律違反」の核心



これまでの経緯

 

DeNAサイトが大量閉鎖 「法律違反」の核心
2016/12/7 6:30

 ディー・エヌ・エー(DeNA)は、著作権侵害などの問題が指摘されている医療情報サイト「WELQ」を含む9サイトを11月29日から相次ぎ非公開とした。7日に同社のキュレーション事業では主力の女性向けサイト「MERY」も非公開とすることを決めた。月間利用者数がのべ約1億5000万人に上る10サイトが非公開となる異例の事態となった。法律上では何が問題に当たり、サイトの運営者はどのような責任を負うのか。著作権法や医薬品医療機器法(薬機法)について弁護士と東京都福祉保健局の担当者に聞いた。

96958a9f889de3e2e1e1e7e5e5e2e2e4e3e0e0e2e3e4e2e2e2e2e2e2-dsxmzo1033578006122016000001-pb1-39記事の信ぴょう性などで批判を集めた医療サイト「WELQ」は11月29日に全記事を非公開とした。今後は専門家の監修体制を整えた上で公開の判断をするという

■「意図と違う誤った記事に写真が勝手に使われた」

 「何よりも我慢できないのは、本来の意図とは全く違う誤った記事に写真が勝手に使われていたことです」。そう憤るのは東京在住のフリーライター、北本祐子氏だ。女性向けの情報サイトで執筆する北本氏は、ファッションや化粧品などの取材をするかたわら、自分のブログでも注目製品や店舗の情報を配信してきた。

 あるキュレーションサイトにブログの画像が無断転載されていたことに気づいたのは2014年の夏ごろ。検索サイトを使って調べたところ、ほかにも10以上のキュレーションサイトが勝手に画像を使っていることが分かった。ブログには無断転載禁止と明記していたにもかかわらず、先方から事前連絡は一切なかった。

 驚いたのは、転載先の写真が本来のブログ記事の内容とは全く関係ない目的で使われていたこと。あるサイトでは、店舗の開店セレモニー取材で撮影した製品が「無料でもらえる不用品」の例として紹介されていた。現在では販売されなくなった製品が、販売中であるかのように書かれていたこともあった。今回、非公開となったMERYでも、化粧品の写真が通販サイトへ飛ばすための誘導用の写真として使われていた。

 北本氏は、無断転載された写真を見つけ次第、削除依頼のメールを何度も送信した。各サイトは削除に応じたものの、「ユーザーが書いた記事でご迷惑をおかけしました」と、執筆者に責任を転嫁する回答が戻ってきたこともあった。著作者に指摘されるまで放置していたずさんなサイト運営企業に対し、北本氏は「著作権違反の記事を掲載していたことは分かっていたはず。であればなぜ今になって突然非公開にするのか」と怒りは収まらない。

■DeNAが「コピペ」を主導

 キュレーションサイトとは、あるテーマにそって関連するリンクを集め、説明を要約する「まとめ」記事を掲載するサービスのこと。DeNAのサイトでは、ライター向けに外部サイトの記事を参考にして書き換えを促すようなマニュアルがあったと暴かれた。これらキュレーションサイトの記事書き換えは、どのような法律違反に当たるのか。弁護士の村永俊暁氏は「著作権法はグレーゾーンが広いが、外部ライターに指導する指針を作っていたという点で今回のDeNAは黒に近い」と指摘する。

 DeNAのキュレーションサイト上には、他のサイトの記事から語尾など一部の単語だけを変更したとみられる文章があり批判を受けた。一方で、独自のコメントを挟むなど元の文章の痕跡がはっきりと残っていない記事もあった。「元サイトの文章をコピー・アンド・ペースト(コピペ)した」という批判を免れるための意図的な操作と考えられる。最近は、特定の単語を自動で別の単語に置き換える「リライトツール」と呼ばれるソフトも登場している。

 そうした変更を加えた文章を掲載することは、著作権上でどんな問題があるのか。著作者には、著作物をコピーする「複製権」、著作物に外形的な変更を加えることができる「翻案権」、ネット上で著作物を配信する「公衆送信権」、という権利がある。勝手にコピペし、単語を書き換え、サイト上で公開していたのだから、これら権利を侵害している可能性があると村永氏は解説する。さらにサービスをまとめる事業者がそれらの権利侵害の指導をしていたのだから「ほぼ黒」というわけだ。

 書き換えによって原型がなくなっていたとしても「本質部分が変わっていなければ著作権侵害と見なされる」(村永氏)。ただ、著作権者が気づかないほどに手が加わっていれば、問題は表面化しないことになる。「元記事の著作権が認められるか、改変された文章が新たな著作物として認められるのかの判断は難しい」(村永氏)。その部分が真っ黒には至らない理由の一つだ。

 別サイトの記事を「引用」するのであれば、著作権者の許可を得なくても問題はないはずだが、「今回の多くのケースは引用には当たらない」(村永氏)。著作権法の第32条には、引用は「報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない」とある。さらに引用の要件として「カッコなどで引用部分を明確に区別する」「主従関係が分かるようにする(引用が主にならないようにする)」「出所を表示する」の3つを守る必要があると村永氏は話す。DeNAの記事の場合、出所を表示していたものの、そのほかの部分で要件を満たしていない記事が多かった。

 写真についても、製品紹介のために他人のブログから写真を拝借するといった場合は引用の要件を満たしているとは言えない。「写真の構図について批評するといった目的であれば、引用として写真全体を見せる必然性があると認められる」(村永氏)が、キュレーションサイトの写真は記事の見た目のイメージを高めるために都合のよい写真が選ばれることが多い。写真全体を引用するための理由としては適さない。

 DeNAは、著作権者から削除の依頼があったときには該当する記事や写真を消すという措置を取っていた。これは著作権法とは別の「プロバイダー責任制限法」による対処だ。ネット上でサービスを運営する事業者が負うべき責任を示した法律で、他人の権利が侵害されていることを知っていて、技術的に問題がなければ当該記事や写真の掲載を止めなければならない。とはいえ「プロバイダー責任制限法で対処するのは当たり前。本来はその前提となる著作権法を守るのがあるべき姿」(村永氏)だという。

 著作権侵害の裁判は民事で争うことが多いが、刑事上の処分が下るとなれば、個人の場合は10年以下の懲役または1000万円以下の罰金、法人では3億円以下の罰金と刑罰は比較的重い。著作権法のグレーゾーンを突き、外部ライターに大量の記事を書かせることで、ユーザーを集め、広告費を稼ぐ。そんなキュレーションサイトの事業モデルが問われる中で「利益追求だけでなく著作権者のことを考えるべき。著作権法にのっとり、使わせてくださいという姿勢が必要になる」(村永氏)と指摘する。

 今回、DeNAサイトが閉鎖に至るきっかけとなったのは、医療情報サイト「WELQ」の信ぴょう性に問題があると批判が相次いだこと。その中でも薬機法(旧、薬事法)の違反に当たるという指摘は多かった。「サイトを確認したところ、ある化粧品がアトピー性皮膚炎に効くなどと、薬機法上で規制の対象になる表現があった」と説明するのは東京都福祉保健局薬事監視担当課長の河野安昭氏だ。

96958a9f889de3e2e1e1e7e5e5e2e2e4e3e0e0e2e3e4e2e2e2e2e2e2-dsxmzo1034467006122016000001-pb1-15キュレーションサイト群「DeNA Palette」を紹介した2015年4月の発表会の様子。その後、同年10月末には医療サイト「WELQ」など4サイトを追加した

■「~を治す」は薬機法違反

 薬機法は、医薬品や医療機器などの品質や安全性を確保し、危害の発生を防ぐための法律。従来は薬事法と呼ばれていたが、2014年の改正で名称が変更となった。WELQでは、食品や化粧品を紹介する記事で、製品名を明示した上で「~を治す」「~に効果がある」といった表現をしている部分があった。薬機法では、食品や化粧品が病気に効くと記事に書いた場合は「未承認医薬品を広告していると見なされる」(河野氏)。未承認医薬品の効能や効果を広告することは、薬機法の第68条で禁止されている。

 WELQでは、ある食品について「肩こりに効く」などと紹介し、販売サイトに誘導するボタンを設置していたと批判された。肩こりも立派な「疾病の一種」(河野氏)であり、明らかに未承認医薬品を広告していたことになる。食品や化粧品以外でも「○○社のパワーストーンがシワやシミに効く」といった記述があれば、未承認の医療機器を広告したことになり得る。

 サイト内に購入ボタンを設置してなかった場合も「広告をしたことになる」(河野氏)という。薬機法上は広告の3要件として「商品名が明らか」「一般人が認知できる」「購買欲をそそる意図が明確」と定めている。つまり、その場で販売しているかは関係がない。雑誌などで、一見すると記事のようだが実は広告という誌面を見かけることがある。それと同じと見なされるのだ。

 食品の中には、「特定保健用食品(トクホ)」や「機能性表示食品」と呼ばれる健康増進などに関する一定の機能を持っていることが認められた製品もある。こうした製品は「認められた範囲の機能について記事で書いても問題ない」(河野氏)。ところがWELQは、ライオンの機能性表示食品「ナイス リムエッセンス ラクトフェリン」に対して、放射線の防御に効果があるとする記事を掲載していた。この製品の届出表示は「内臓脂肪を減らすのを助け、高めのBMI改善に役立つ」こと。もちろんWELQの記事は薬機法の違反となる。ライオンは、当該記事には「一切関与しておりません」として、注意を促すPDF文書を公開している。

 また、WELQのキュレーションサイトでは「~と言われています」「~とSNSで話題になっています」と語尾を伝聞調にすることで、責任の所在をぼかしているかのような書き方が散見された。これで逃れることはできるのか。結果は「クロ」。「薬機法では明示か暗示かにとらわれることはない。消費者が誤解をする表現であれば違反となる」(河野氏)からだ。「便秘に効く」なら問題はあるとしても「おなかスッキリ」であればどうか。そうした微妙な表現に明確なボーダーラインはないため、必要に応じて事前に自治体の相談窓口に問い合わせをすることになる。

 「ヨーグルトが効く」といった特定の製品に結びつけた表現でなければ問題にならないが、広告の自動配信システムによって記事の横に内容に関連するヨーグルトの広告が表示されたとなれば「薬機法に触れる」(河野氏)。そうしたケースでは、「広告しようという意図が明確か」「誰が広告主に当たるのか」といった判断が一概にできない場合もある。ますます高度化するネットの使い方に併せて、法律も時代に合わせた変化が求められていきそうだ。





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