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IPO専門家が教える 上場の準備は3年前から始めなければ間に合わない



<IPO専門家が教える>上場の準備は3年前から始めなければ間に合わない
(更新 2015/3/19 10:26)

p002_227 企業でのシステム開発者を振り出しに、営業トップや経営者として上場を果たすなど、IT界で多彩な職歴を持つ株式公開コンサルタントの高橋諭氏。ITベンチャー経営者の視点からIPO(株式公開)の苦労とコツを伝授していきます。第7回はベンチャー企業が上場準備を始める際に重要となるいくつかのポイントを紹介します。

数十人規模のベンチャー企業が上場を目指す場合

従業員数十人規模のベンチャー企業を念頭に、対象市場を東京証券取引所マザーズとして上場準備を始めるにあたり、重要と思われるポイントについて述べていきましょう。

東証のホームページを見ると、東証マザーズへの上場スケジュールとして左のような図が示されています。

もう15年も前のことになりますが、私が取締役として国内新興市場上場を経験した頃は、直前々期の遡及監査(過去にさかのぼって監査を実施すること)が可能だったので、上場準備体制に入ってから約2年で上場することができました。

しかし、現在では遡及監査は認められておらず、直前々期の遅くとも半年前には準備体制を整える必要があります。上場までは早くて3年はかかるわけです。

重要な役職である「上場事務局長」を選任する

上場の準備体制を作るうえで、最初に行うことは「上場事務局長」を決めることです。上場までの期間、主幹事証券会社と向き合い、また会社の経営者、幹部社員をまとめて上場を実現する重要な役職です。

上場審査のなかで大きなウェイトを占めるのは、なんといっても財務・経理ですので、この記事で想定する規模の企業の場合、経理部門担当役員か経理部長がこの役職を兼ねることが多いでしょう。

上場事務局長は財務・経理についての充分な知識・スキルが必要ですが、加えて交渉力や統率力が必要になります。

自社に不在の場合は、外部から採用が必要になりますが、上場を経験している人が見つかれば“鬼に金棒”であるものの、上場ブームの昨今、このような人材を見出すことはなかなか大変です。人選に当たっては先ほど述べたように交渉力や統率力がポイントになります。

p150317p01「主幹事証券会社」と「監査法人」をどう選ぶか

次に行うことは、公開準備指導や公開審査、株式の引き受け・販売を行う「主幹事証券会社」と、会社の財務諸表の適正さや企業経営の継続性を証明する「監査法人」との契約です。

選定の参考として、最近2年間の東証マザーズ新規上場における主幹事証券会社・監査法人別の担当企業数を掲げます。

主幹事証券会社の選定においては、スムーズな審査と上場時の公募株・売出株の販売を考えると、実績ある大手証券会社と契約することが王道ですが、最近では多数の個人投資家を顧客に持ち、株式の販売とスピーディーな業務進捗が期待できるネット証券会社を選ぶことも有力な選択肢と思われます。

監査法人の選定では、会社の規模に見合った“適正規模”の相手を選ぶべきであるというのが私の持論です。

これまで大小さまざまな規模の監査法人と接してきましたが、いわゆる大手の監査法人では、こちらが小さな会社だと若手の会計士が出てくることが多く、対応が杓子定規でイレギュラーなことに関しては相談にも乗ってもらえないということもありました。

比較的小規模な監査法人と契約すると、打ち合わせには常に代表社員の“先生”が出席し、長い経験に裏打ちされた柔軟な対応に、多々感心することがありました。

会社が新興市場への上場後に、一部や二部への上場替えを予定していたり、海外への事業展開が進行中であったりするような場合を除き、身の丈にあった監査法人選びが良い結果をもたらすことでしょう。

まず役員や社員に「ストックオプション」付与を

実は上記の事項のいずれよりも早くに準備すべきことがあります。それは役員や社員らへの「ストックオプション」の付与を行っておくことです。

ストックオプションは付与から2年後以降、会社が上場していたら付与額で株式を購入し、市場においてそのときの時価で販売できる仕組みです。

仮に付与額が1株2万円で売却時の株価が1株60万円だったなら、一株当たり58万円の利益を生じることになります。上場には全社一丸となった協力体制が必要ですが、ストックオプションはこの体制作りにも大きな役割を果たします。

安ければ安いほどよい付与額なのですが、準備体制が整い上場がスケジュール化してくると、株価算定に影響が生じます。すべての準備事項の前により低価格の付与実行を行っておきたいものです。

会社内に「上場経験者」を加えるメリット

今回は上場に向けての準備体制作りについて、いくつかのポイントを紹介しましたが、最後にもう一つの重要ポイントを述べましょう。それは「上場経験者」に顧問などで参加してもらうということです。

もし、適切な人が見つからなければ外部のコンサルタントに依頼することも良い方法でしょう。

以前、上場を前提とした第三者割当増資のため、あるベンチャーキャピタルへの提案を行っていたとき、上場チームに上場経験者がいるかどうかを問われたことがありました。上場経験者がいれば、より速やかな上場が期待できるという意味でした。

創業や事業運営に100%以上の努力を傾注して来た経営者にとって、株式上場という分野は「右も左も分からない」という状況もあるかもしれません。

上場事務局長の選任や主幹事証券会社、監査法人との契約、そして第三者割当増資と上場審査対応など、上場を実現するまでの困難なプロセスに、上場経験者による適切なアドバイスが、より効率的な、かつ速やかな上場実現に大きな役割を果たすことになります。

次回は、私が社長として経験した海外市場上場について書いていきます。





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